Dataverseのライセンス費用をやさしく解説〜Dataverse for Teamsでできることってなんだろう編
2025.10.17
さて前回でも触れましたDataverse関連のライセンス条件で最もお手軽に使えるのではないかと言うDataverse for Teamsについて簡単に説明します。限定的ではあるものの用途と容量に注意すればよっては結構使えます。
Microsoft 365 の標準ライセンス(E3/E5 など)でも限定的なDataverse を使ったアプリケーションを作ることが可能です。ただし、最初に気をつけなければいけない事は、これは正式な Dataverse ではなく「Dataverse for Teams」という別物だと言うことを理解する必要があります。
Dataverse for Teams の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 利用対象 | Microsoft Teams の中で動作する Power Apps アプリ |
| 追加ライセンス不要 | Microsoft 365 E3/E5 などに標準で含まれる |
| 使用できるデータソース | Dataverse for Teams(限定機能) |
| 通常のDataverseとの違い | 容量や拡張性、API連携などに制限あり |
Dataverse for Teams の容量制限
| 単位 | 容量 |
|---|---|
| 1環境あたり | 2GB(ファイルを含む) |
| 1テーブルあたりの制限 | ~1Mレコード(実質は容量が先に上限に達する) |
| 1テナントあたりのTeams環境数上限 | 最大500環境(実用的には数十程度) |
有償版Dataverse(Power Apps Premium)と比べて大幅に容量が小さいので、用途はかなり限定されてしまいます。
軽量で簡単なアプリケーションならOK
ではDataverse for Teamsで作れるアプリの具体例(Teams 内)を見ていきましょう。
以下のような軽量で簡単なアプリケーションは作ることができます。
1. 簡易的な申請・承認アプリ
- 例:休暇申請、出張申請、備品貸出申請
- テキストベース、ファイル添付なし
- 承認ワークフローは Power Automate と連携可
2. チーム内タスク・案件進捗管理
- 例:営業タスク、開発タスク、社内プロジェクト進捗
- 最大数千件規模の運用も可能
- ファイルは SharePoint 側で分離管理すれば容量圧迫を回避可能
3. イベント参加者や社内アンケートの記録
- 例:勉強会参加者一覧、フィードバック
- 容量は軽く、テキスト中心なので安定運用しやすい
【参考】インフォースでは検証のために作成してみました。容量の目安くらいで収まるアプリならさくさく動き実用になります。
| アプリ名 | 機能概要 | 保存対象データ | Teams外との連携 | 容量の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 休暇申請アプリ | 休暇種別、日付、理由を入力 → 承認フロー | テキスト(申請理由など)+申請日付など | Power Automateによる承認通知メール | 数MB(ファイル添付なし) |
| 営業タスク管理アプリ | 顧客ごとの営業タスクを一覧表示・ステータス管理 | 顧客名、案件名、タスク、期限、担当者 | Power Automateで期日超過アラート | 10MB以下(数千件程度) |
| 勉強会参加者管理 | イベント参加者の一覧とアンケート結果の記録 | 名前、部署、参加有無、コメント | Power Automateで集計→Excelに出力 | 5MB以下(イベントごとに100〜200件) |
作成が難しいアプリ
逆に作成が難しいアプリの例をみてみましょう。(マイクロソフト社もTeamsでは非推奨としています)
| アプリタイプ | 理由 |
|---|---|
| 契約書PDFや画像を大量に格納する文書管理アプリ | ファイル容量がすぐ2GB上限に達する |
| 外部システムと頻繁にAPI連携する業務アプリ | Teams Dataverse では API の制限がある |
| 高速検索・フィルタ・ビューを必要とする分析系アプリ | UI制限が多く、Power BI 連携なども制限あり |
まとめ
- Dataverse for Teamsは別物
Microsoft 365 E3/E5で使える「Dataverse for Teams」は、正式なDataverseとは異なり、Teams専用・限定機能の軽量版です。 - 容量・機能に大きな制約
1環境あたり2GB上限でAPI連携や拡張も制限され、外部システム連携や大量データ管理には不向きです。 - 小規模業務アプリに最適
休暇申請・タスク管理・アンケート記録など、チーム内の軽量・簡易アプリにはコストゼロで実用的に活用できます。
(※当該記事の内容は掲載時点での情報に拠ります。)
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