「ノーコードの時代」に惑わされないために!
トランザクション処理やデータ連携できなくていいのですか?
Accessはリレーショナルデータベースであり、Kintoneではできないような複数のデータの連携や管理が得意です。リレーショナルデータベースとは、データが複数の表(テーブル)に分かれていても、共通の項目(キー)を使ってデータ同士を関連付けることができる仕組みです。
例えば、顧客情報と注文情報を別々に管理していても、顧客IDを共通キーとして紐付けることで、顧客に関連するすべての注文情報を簡単に参照できます。このようなデータの連携は、Accessの得意分野です。
もうひとつ、Accessでは外部キーに紐付けられたデータは常に最新の状態が維持されます。
一方、kintoneはリレーショナルデータベースではなく、トランザクション処理という概念が存在しません。そのため、複数のデータを関連付けて管理することは不可能ではないものの、Accessほど簡単にできません。kintoneのデータ連携の仕組みにはには「ルックアップ」という機能がありますが、関連するデータが更新されても、その更新内容が自動的に反映されることはなく、手動で都度更新する必要があります。ここがAccessとの大きな違いとなります。
Accessの強力な帳票作成機能
Accessには標準でレポート作成機能が搭載されています。これにより、ユーザーは自由なフォーマットで帳票(レポート)を作成し、データを視覚的にわかりやすくまとめることができます。帳票のレイアウトやデザインを簡単に作成でき、複雑なレポートも容易に作成可能です。
ところがkintoneには標準では帳票作成機能があまり充実していません。会社の製品戦略なのか特定のフォーマットで帳票を作成するには「帳票プラグイン」などの外部ツールを使はなければいけません。確かにこれらAPIや外部ツールを用いれば自由な形式の帳票作成が可能にはなりますが、追加の設定やツールの導入が必要となるところはそう簡単ではありません。ここがAccessとの大きな違いになります。
ワークフローやコミュニケーション機能が充実したKintone
機能面や製品自体の成り立ちでおkintoneとAccessには違いがあります。kintoneは、データベースだけでなく、組織内SNSのようなコミュニケーション機能を提供しており、利用者同士がアプリ上でメッセージをやり取りしたり、コメントを残したりすることができます。また、プロセス管理機能を用いたワークフロー機能も備わっており、業務フローの効率化をサポートしてくれます。これに対し、Accessはデータベース機能に特化しており、コミュニケーション機能やワークフロー管理機能は標準では搭載されていません。ここはマイクロソフトの世界ではTeamsということでしょう。
結論〜両者は似て非なることを理解する
kintoneとAccessは、データ管理ツールとして似ている部分もありますが、成り立ちや製品の仕組みそのものに根本的な違いがあります。
kintoneはクラウドベースのサービスであり、インターネットを通じて複数のユーザーが同時にアクセスでき、情報を共有する使い方を前提としています。そのため、組織全体でリアルタイムにデータを共有したい場合にはkintoneが適しています。
Accessは社内のサーバーやパソコンにインストールして利用する形態でのデータ管理を前提としており、インターネット接続がなくても利用可能です。これはセキュリティ面ではメリットと考える企業も多いでしょう。
また、Accessでアプリケーションを作成するには、テーブルやクエリの概念などある程度のデータベース知識が必要となりますが、kintoneはプログラミング知識がなくても簡単にアプリを作成できる点が、初心者にとっての利点です。
またkintoneの拡張機能を活用して連携ができる「formrun」などの作成ツールを使うとたしかにWEBアンケートや経費申請のようにトランザクションやレコード更新不要のアプリケーションには向いているのでしょう。
これらの違いを理解し、目的や環境に応じてどちらが適切なツールかを考えることが大事です。けしてKintoneが最新で万能というわけではないのです。
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